語彙

英語のイディオム:ネイティブが本当に使う40個

"I'm a bit under the weather" の単語は全部知っているのに、意味がわからない——それがイディオム(慣用句)です。ドラマにも会議にも雑談にも出てきて、「教科書の英語はわかるのに生の英語は速く感じる」大きな理由のひとつです。このページでは、イディオムとは何か、場面別に最も役立つ40個(日本語の意味と例文つき)、教科書には載っているのにネイティブがほとんど言わないイディオム、自然に使うためのルール、日本語に似た表現と直訳の落とし穴、よくある間違い、そして12問のクイズを紹介します。

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15 分で読めます · 更新日 2026年10月27日

イディオムとは?なぜ大切か

イディオム(idiom)とは、個々の単語の意味を足しても全体の意味にならない、決まった言い回しのことです。Break the ice は氷とは関係なく、「初対面の緊張をほぐす」という意味。Cost an arm and a leg も腕や脚の話ではなく、「目が飛び出るほど高い」という意味です。日本語の「猫の手も借りたい」や「腹が立つ」と同じですね。

イディオムは句動詞(give up, find out)とは別物です。どちらも複数の単語でできていますが、句動詞は「動詞+小さな語」の形に限られます。ことわざとも少し違います。ことわざはそれだけで完結した教訓(Don't put all your eggs in one basket「卵をひとつのかごに盛るな」)ですが、イディオムは自分の文の中に組み込んで使う表現です。

なぜ覚える必要があるのでしょう? いつも耳にするからです。上手に話すためにイディオムをたくさん使う必要はありませんが、よく使われるものは理解できる必要があります。そうでないと、たったひとつの表現で会話全体の流れを見失ってしまいます。そして2〜3個を自然に使えれば、丸暗記ではない、余裕のある自信に満ちた英語に聞こえます。

場面別・よく使う英語のイディオム40

この40個は、面白いからではなく、今の日常会話や職場で本当によく使われるという理由で選びました。アルファベット順ではなく場面ごとに覚えましょう。必要なときに、ぴったりのものが思い浮かびます。

日常生活と気持ち

イディオム意味例文
under the weatherちょっと体調が悪いI'm feeling a bit under the weather today.
on cloud nine有頂天、最高に幸せShe's been on cloud nine since she got the job.
a piece of cake朝飯前、とても簡単The driving test was a piece of cake.
call it a day今日はここまでにするWe're all tired — let's call it a day.
hit the sack寝る、床につくI'm exhausted. I'm going to hit the sack.
get cold feet直前になって怖気づくHe got cold feet the night before the interview.
sleep on it一晩考えてから決めるDon't decide now — sleep on it.
the last straw我慢の限界を超える最後のひと押しHe was late again. That was the last straw.

仕事と勉強

イディオム意味例文
learn the ropes仕事のやり方・コツを覚えるIt took me a month to learn the ropes.
back to the drawing board失敗して一から出直すThe client hated the design, so it's back to the drawing board.
think outside the box型にはまらない発想をするWe need to think outside the box on this one.
get the ball rolling物事を始める、口火を切るLet's get the ball rolling with a quick introduction.
cut corners手を抜く、手間やお金をけちるDon't cut corners on safety.
hit the books本気で勉強する、猛勉強するI have to hit the books this weekend.
on the same page認識が一致している、同じ理解をしているBefore we start, let's make sure we're on the same page.
pull your weight自分の役割をきちんと果たすEveryone on the team has to pull their weight.

お金と時間

イディオム意味例文
cost an arm and a leg目が飛び出るほど高いThat new phone cost an arm and a leg.
break the bank大金がかかる(「そんなにお金はかからない」と否定でよく使う)A weekend away won't break the bank.
once in a blue moonごくまれに、めったにないI only eat fast food once in a blue moon.
in the nick of timeぎりぎり間に合ってWe got to the gate in the nick of time.
better late than never遅くてもやらないよりましYou finally replied — better late than never!
kill two birds with one stone一石二鳥I cycle to work, so I kill two birds with one stone: exercise and no traffic.
time flies時間が経つのは早いIs it midnight already? Time flies when you're having fun.
on a shoestringわずかな予算で、切り詰めてWe travelled around Asia on a shoestring.

人間関係

イディオム意味例文
break the ice緊張をほぐす、場を和ませるHe told a joke to break the ice.
hit it off会ってすぐに意気投合するWe met at a party and hit it off straight away.
pull someone's leg人をからかう、冗談でかつぐRelax, I'm just pulling your leg.
see eye to eye意見が一致するMy brother and I don't always see eye to eye.
get on someone's nerves人をいらいらさせる、神経にさわるHis constant complaining gets on my nerves.
let the cat out of the bagうっかり秘密をばらすWho let the cat out of the bag about the surprise party?
give someone the cold shoulderわざと冷たくする、無視するShe's been giving me the cold shoulder all week.
in the same boat同じ境遇にいる、運命共同体Don't worry, we're all in the same boat.

困難と成功

イディオム意味例文
bite off more than you can chew自分の能力以上のことを引き受けるWith two jobs and a course, I bit off more than I could chew.
beat around the bush遠回しに言う、本題を避けるStop beating around the bush and tell me what happened.
the ball is in your court次はあなたの番、判断はあなたしだいI've made my offer. Now the ball is in your court.
hang in thereがんばれ、あきらめるなHang in there — the first month is always the hardest.
a blessing in disguise災い転じて福となすMissing that flight was a blessing in disguise.
go the extra mile期待以上の努力をするShe always goes the extra mile for her customers.
break a leg頑張って!(特に本番・発表の前に)Your presentation is tonight? Break a leg!
it's not rocket scienceそんなに難しくないCome on, it's not rocket science — just follow the steps.

教科書に載っているのに誰も言わないイディオム

多くの教科書や単語帳は、今では古臭く、あるいはおどけて聞こえるイディオムをいまだに教えています。ネイティブは意味を理解できますが、普通の会話で使うと笑われるかもしれません。間違いだからではなく、1950年代の映画のように聞こえるからです。

教科書のイディオム実際のところ代わりに言う表現
It's raining cats and dogs.日本で一番有名な英語のイディオムですが、本気で使う人はほとんどいません。耳にするとしたら、たいてい冗談です。It's pouring. / It's pouring down.
She's the bee's knees.とても古い(1920年代のスラング)。ネタとしてはありですが、普通の会話では不自然です。She's amazing. / She's brilliant.
I'm as fit as a fiddle.通じますが古風で、主に年配の人が使います。I feel great. / I'm in great shape.
A penny for your thoughts?丁寧ですが時代遅れで、今は芝居がかって聞こえます。What are you thinking about?

朗報もあります。上のリストのイディオムの多く——a piece of cake, break the ice, on the same page, call it a day——は今でもごく普通に使われています。あるイディオムが今も使われているか迷ったら、引用符をつけて最近のニュースや字幕サイトで検索してみましょう。「イディオム集」にしか出てこないなら、覚えなくて大丈夫です。

不自然にならないイディオムの使い方

単語は固定されている

単語を同義語に置き換えたり、冠詞を足したりはできません。1語でも変えるとイディオムではなくなり、相手は文字どおりの意味で受け取るか、まったく理解できなくなります。

a piece of cake ✓ · a slice of cake ✗ · a piece of a cake ✗

動詞はふつうに変化する

イディオムの中の動詞は通常の文法どおりに変化します。時制、-ing形、否定文、疑問文もいつもどおりです。

Let's break the ice. · He broke the ice with a joke. · Breaking the ice is the hardest part.

代名詞・所有格は入れ替える

someone や your が入っているイディオムは、実際の人に置き換えます:pull someone's leg → pulling my leg、pull your weight → pull their weight。

You're pulling my leg. · I was only pulling his leg. · Everyone has to pull their weight.

イディオムはくだけた表現

会話、チャット、同僚へのカジュアルなメールで使いましょう。論文、報告書、改まった手紙では、ふつうの単語を使うほうが適切です。

This task is a piece of cake. (chat, message) · This task is straightforward. (report, essay)

もうひとつのルール:詰め込みすぎないこと。イディオムが3つ入った文("It was a piece of cake, so I was on cloud nine and called it a day")は教科書の練習問題のように聞こえます。数分の会話にひとつ入れば十分です。

よくある間違い

  • The exam was a piece of a cake. ✗ → The exam was a piece of cake.
    cake の前に冠詞は不要です。決まった形は a piece of cake。日本語話者は逆に最初の a を落としがちなので、その点も注意しましょう。
  • It cost an arm and leg. ✗ → It cost an arm and a leg.
    2つ目の a もイディオムの一部です:an arm and a leg。
  • Don't worry, he's pulling your legs. ✗ → Don't worry, he's pulling your leg.
    いつも単数形です。たくさん冗談を言っても someone's leg。
  • I killed two birds with a stone. ✗ → I killed two birds with one stone.
    決まった形は one stone。a stone だと翻訳っぽく聞こえます。
  • We are all in the same ship. ✗ → We are all in the same boat.
    英語では ship ではなく boat。大きな「船」を思い浮かべると間違えやすいポイントです。

日本語に似た表現と直訳の落とし穴

日本語は慣用句やことわざがとても豊富な言語です。リストの中には、日本語にほぼそのまま対応するものもあります。そうしたものは「タダで」覚えられますが、細かな違いには気をつけましょう。

  • ほぼ同じ:kill two birds with one stone = 一石二鳥(実はこの四字熟語は、明治時代に英語のことわざから訳されて広まったと言われています)· time flies = 光陰矢のごとし、時が経つのは早い · a piece of cake = 朝飯前 · it's raining cats and dogs = 土砂降り。
  • 考え方は同じ、イメージが違う:cost an arm and a leg = 目が飛び出るほど高い · the last straw = 堪忍袋の緒が切れる(英語では「ラクダの背骨を折る最後のわら」)· let the cat out of the bag = 口を滑らせる · beat around the bush = 遠回しに言う · a blessing in disguise = 災い転じて福となす · break a leg = 頑張って(「脚を折れ」は縁起が悪いのではなく、舞台の世界の励ましです)。
  • 似ているのに意味が違う(要注意):pull someone's leg は「足を引っ張る」ではありません。英語では「からかう」という意味です。「足を引っ張る(邪魔をする)」は hold someone back。また in the same boat は「呉越同舟」とは違い、敵同士ではなく「同じ苦しい立場にいる仲間」を指します。
  • 日本語から直訳すると通じない:「猫の手も借りたい」→ I want to borrow a cat's paws ✗、言うなら I'm swamped や I need all the help I can get。「猫をかぶる」→ put on an act。「腹が立つ」→ my stomach stands up ✗、ふつうに I'm annoyed。「顔が広い」→ know a lot of people。

忘れないイディオムの覚え方

  1. 先にイメージ、次に意味。二人の間にある薄い氷を本当に割るところを想像してみてください。イディオムは絵であり、その絵が記憶に残る理由です。
  2. 必ず例文といっしょに。"That phone cost an arm and a leg" は覚えられますが、「arm and a leg = 高い」だけでは残りません。
  3. 1週間に3〜5個で十分。それ以上だと混ざってしまいます。それぞれ自分の生活についての文をひとつ作りましょう。
  4. 耳を澄ます。ドラマやポッドキャストはイディオムの宝庫です。リストにあるものが聞こえたら一時停止して、その文を声に出して繰り返しましょう(シャドーイング)。
  5. その日のうちに実際の会話でひとつ使う。イディオムを「わかる」ことと「言える」ことは別のスキルです。自分のものにしてくれるのは後者だけです。

クイズ:12問

それぞれのイディオムに抜けている単語を入れてください。まず自分で考えてから答えを開きましょう。

1. The test was a piece of ___.

答え: cake — とても簡単なこと、朝飯前。

2. I'm feeling a bit under the ___, so I'll stay at home.

答え: weather — ちょっと体調が悪い。

3. That designer bag cost an arm and a ___.

答え: leg — 目が飛び出るほど高い。

4. We only see each other once in a blue ___.

答え: moon — ごくまれに。

5. He told a funny story to break the ___.

答え: ice — 初対面の緊張をほぐす。

6. Stop beating around the ___ and tell me what happened.

答え: bush — 遠回しに言う。

7. I've done my part — now the ball is in your ___.

答え: court — 次はあなたが決める番。

8. We reached the station in the nick of ___.

答え: time — ぎりぎり間に合って。

9. Let's call it a ___ and finish tomorrow.

答え: day — 今日はここまでにする。

10. Who let the cat out of the ___?

答え: bag — うっかり秘密をばらす。

11. The first week was hard, but I'm slowly learning the ___.

答え: ropes — 新しい仕事のやり方を覚える。

12. Don't decide tonight — sleep on ___.

答え: it — 一晩考えてから決める。

会話で使ってみる

イディオムは、実際の会話で自然に口から出るようになって初めて自分のものになります。このページから3つ選んで、TalkSmart の AI 会話パートナーとのセッションで使ってみましょう。1週間の出来事、仕事、これからの予定などについて話してみてください。セッション後のレポートには添削された文が表示されるので、イディオムを正しい形で使えたかどうかがわかります。

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よくある質問

英語のイディオムとは何ですか?

個々の単語から意味を推測できない、決まった言い回しのことです。たとえば「break the ice」は初対面の緊張をほぐすこと、「once in a blue moon」はごくまれに、という意味です。

英語のイディオムはいくつ覚えればいいですか?

何千もありますが、必要なのはずっと少しです。このページにあるよく使われる数十個を理解すれば、日常会話や職場で耳にするイディオムの大部分をカバーできます。自然に聞こえるには、そのうち2〜3個を使えれば十分です。

IELTSのスピーキングでイディオムを使うべきですか?

はい。ただし、正しく自然に使えるものだけにしましょう。IELTSの語彙(Lexical Resource)の評価基準ではBand 7以上で「idiomatic vocabulary」が挙げられていますが、無理に使ったり間違えたりすると、かえって減点につながります。フォーマルなIELTSライティングのTask 2では避けましょう。

イディオムと句動詞の違いは何ですか?

句動詞は動詞に up、out、off などの小さな語がついた形です(give up、find out)。イディオムは文字どおりでない意味を持つ決まった表現全般を指します(a piece of cake、break the ice)。句動詞の中にはイディオム的なものもありますが、ほとんどのイディオムは句動詞ではありません。

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